自律神経失調症とは
自律神経失調症とは自律神経系の調節機能が乱れ、めまい・頭痛・不眠などの症状が現れる状態です。原因はさまざまですが、ストレスや過労などが原因となることがあり、他の疾患との鑑別が必要となります。治療には生活習慣の見直しや薬物療法などが行われます。
早期の診断と適切な治療をするために、まずは原因やうつ病との違いについて見ていきましょう。
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自律神経失調症の原因
自律神経失調症は、自律神経系の調節機能が正常に機能しない状態を指します。
この章ではなぜ自律神経失調症になってしまうのか、その原因についてご説明していきます。
遺伝的要因
自律神経失調症は遺伝する病気ではありません。
しかし、家族や身内に自律神経が乱れやすいという人がいる場合、似た体質を持って症状が現れる場合もあります。
ただし、家族性自律神経失調症と呼ばれる、特定の遺伝子の変異によって生じる遺伝性の疾患もあります。
心身的要因
自律神経失調症はストレスなど心理的な要因から発症するとも言われています。
これは交感神経の働きが優位になりすぎて、副交感神経の働きが衰えたことによって起こる状態となります。
生活習慣
更に、生活習慣や生活環境も自律神経失調症の原因となり得ます。
不規則な食事や睡眠不足、過度の運動、環境の変化、外部刺激も自律神経のバランスを崩し、症状の発症に関与することがあります。
自律神経失調症の診断基準
自律神経失調症には、明確な判断基準はありません。
しかし、以下のような症状が長期間続いている場合は自律神経失調症の疑いがありますので、早めに医師に相談しましょう。
疲労感 | めまい | 立ちくらみ |
頭痛 | 不眠症 | 動悸 |
消化不良 | 心拍数の変動 | 血圧の変動 |
自律神経失調症の診断は、身体的な症状、精神的な症状に基づいて行われます。
・関連記事:自律神経失調症のセルフチェック|身体的症状と精神的症状を解説
自律神経失調症になりやすい人
自律神経失調症になりやすい人には、以下のような特徴があります。
- 過度なストレスを抱えている人
- 不規則な生活を送っている人
- 運動不足の人
- 遺伝的な要因を持つ人
自律神経失調症は交感神経と副交感神経のバランスが崩れたときに出る症状です。
そのため、身体の活動を活発化させる交感神経のみもしくは、身体のリラックス状態を促進する副交感神経のみがよく働いてしまっているなど、どちらか一方に働きが偏ってしまっていると自律神経失調症になりやすくなります。
自律神経失調症の種類
自律神経失調症には本態性、神経症型、 心身症型、抑うつ型の4つの種類があります。
どのタイプも心身共に負担のかかる自律神経失調症です。
つらい・苦しいなどと感じた際は、無理せず沢山自分の事を労わってあげてくださいね。
本態性自律神経失調症
本態性自律神経失調症は、生まれつき自律神経の調節機能が乱れやすい人が発症するタイプの自律神経失調症です。
これは虚弱体質や低血圧の方に多く、日常生活のストレスとはあまり関係ありません。
また体質が原因となる為、改善方法としては日々の食事・睡眠などの生活習慣を見直すことが推奨されています。
神経症型自律神経失調症
神経症型自律神経失調症は、心理的な要因によって引き起こされるタイプの自律神経失調症です。
このタイプの方は、感受性が豊かなことから少しの精神的ストレスでも体調を崩してしまいがちです。精神状態の変化がそのまま体に影響を与えてしまうからこそ、なるべくリラックスした環境下で精神に負担をかけないよう過ごしましょう。
心身症型自律神経失調症
心身症型自律神経失調症は、慢性的な日常のストレスが原因で発症するタイプの自律神経失調症です。
几帳面・努力家・真面目といった方が発症しやすく、心と体の両面から不調が現れます。仕事や人間関係などのストレスをなるべく溜め込まず、休息日を設けながら自身を労わってあげましょう。
抑うつ型自律神経失調症
抑うつ型自律神経失調症は、うつ症状によって生じるタイプの自律神経失調症です。
これは心身症型自律神経失調症の症状が更に進行してしまったパターンで、ストレスの蓄積から発症します。気分の落ち込みや楽しさを感じられなくなるといったうつ症状も併発して出てくるため、一人で悩みを抱えることなく家族・友人・医療機関(心療内科など)に相談しましょう。
自律神経失調症の治し方
続いては、自律神経失調症の2つの治療方法について解説していきます。
薬物療法 | 精神療法 | |
薬 |
抗不安剤 抗うつ薬 睡眠導入剤など |
認知行動療法 心理療法 リラクゼーション法 |
どの治療法が適切かは、個人の症状に合わせて医師が診察していきます。
焦ること無く、長期的治療で改善していきましょう。
自律神経失調症とうつ病の違い
最後に自律神経失調症とうつ病の違いについて解説していきます。
自律神経失調症
自律神経失調症は、主に身体的な症状が現れる疾患です。
めまい・頭痛・動悸・胃腸の不調・手足の冷えなどが具体的な症状として挙げられます。これらの症状は自律神経系の調節機能の乱れによって引き起こされ、ストレスや過労、生活習慣の乱れなどが主な原因です。
治療法としては、生活習慣の改善やストレス管理、適切な運動や食事などが推奨されます。
うつ病
一方うつ病は、主に心理的な症状が現れる精神疾患です。
気分の低下や興味や喜びの喪失などが特徴的であり、これらの症状は脳内の神経伝達物質のバランスの乱れによって引き起こされます。
うつ病の原因は複数あり、遺伝的な要因・生活のストレス・脳の機能異常などが関与していると考えられています。うつ病の治療法としては薬物療法や認知行動療法、心理療法などが一般的に用いられます。
自律神経失調症とうつ病は、症状・原因・治療法などが異なる疾患です。
それぞれの疾患ごとに治療法が異なり、早期の診断と適切な治療が重要です。
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