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管理栄養士のコラム「 ’’一人一人のいのち輝く毎日の食事’’」5

◯調味料で整える毎日ごはんー醤油ー

調味料は直接的な栄養摂取には繋がりにくいけれど
1.毎日使用すること
2.料理の味に大きく影響を与えること
から、いろいろ知った上で選び、使用されるといいのかなと思います。

醤油は、発酵食品の一つとして昔(奈良時代ごろ) から日本人の健康にとって欠かせない調味料です。例えば、調味料に関するインターネット調査を約10000人(10〜70歳) に対して行った結果をみてみると、「自宅にある調味料」「よく使う調味料」共に「醤油」が一番でした。(マイボイスコム2013年•2017年•2020年•2022年) 

醤油が持つ奥深く繊細な味わいは、味覚を構成する5つの基本味(甘み・酸味・塩味・苦み・うまみ) を全て備えているからだそうで、そしてこれは麹菌、乳酸菌、酵母といった微生物が行う“発酵”の働きによるものなのだそうです。

この発酵に欠かせないのが木樽。江戸時代までは、醤油に限らず和食のベースとなる味噌、酢、味醂、酒、(醤油) などの基礎調味料は木桶で熟成されており、明治時代に入ってからは商業的な理由などから現在の醤油業界の例では、木樽使用が全体の 1%以下まで落ち込み無くなる寸前までいってしまったそうです。

木桶とは、鉄釘や接着剤を使わずに自然の素材でつくられ、100年以上使うことができる容器のことです。木材の表面の微細な構造に微生物がすみつき、独特の生態系をつくりあげ、百年を超える歴史の積み重ねや気候風土に応じてオリジナルな微生物の個性が、その蔵元にしか出せない風味や味わいを醸しています。

現代の醤油は、木桶とタンクで熟成させる場合の2つの方法があります。

タンク熟成醤油の特徴木樽熟成醤油の特徴
1.大量に作ることができる1.容器の内部に微生物が住み続ける
2.菌類は添加するので
味の安定化を図ることができる  
2.年によって味が一定でなく、
木樽による味の違いがある

醤油を選ぶ際にお勧めするのは、原材料が「大豆・小麦・食塩」のみで作られたもの、そして熟成は木樽。木樽に住み着いた微生物によってうまみを作り出す約20種類のアミノ酸、約300種類の香り成分を自然の力で醤油の中に作り出すことができるのではないかと想像することはとても楽しいですし、栄養価では測れない健康の秘訣があるに違いないのです。

執筆者:管理栄養士井上わかこ

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