ドクターコラム

足の指の「腫れ」「痛み」の原因と対処法

「急に足の指が腫れた、痛い!」 そんな時どうしますか?
足の指が腫れ・痛みが生じる原因はさまざまです。自然に良くなっていく場合もあれば、何らかの治療が必要になるケースもあります。ただ「一過性のものだろう」と安易に決めつけないこと、不安から慌てて行動を取らないことも大切です。まずは自分自身の原因を知り、見極めポイントを理解して正しく対処しましょう。

■考えられる原因

痛風性関節炎

生活習慣病の一つである痛風をご存知だと思います。
痛風とは、プリン体の過剰摂取・生成、排泄不全などによって体内の尿酸が過剰になり、関節に溜まって結晶化して炎症を起こす病気です。痛風による関節炎から足の指に腫れや激痛が生じることがあります。元々尿酸値が高めの方は、食生活の乱れや体調不良、運動などによる脱水、打撲などの外傷などを機に発症することもあります。
市販の消炎鎮痛剤の服用で炎症は軽減する場合がありますが、症状が軽快した後も尿酸値のコントロールなどの目的で生活習慣の見直しをすることが大切です。
当院では内科外来で、医師・管理栄養士が生活習慣指導を行なっています。

②化膿性爪囲炎

足の指の腫れは、爪周囲の細菌感染による化膿性爪囲炎の場合があります。
化膿性爪囲炎とは、体調不良による免疫力の低下がある場合に、手や足の爪の周囲の小さなキズなどから細菌感染し炎症が起こっている状態です。
悪化すると発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、リンパ節腫脹などを伴う場合もあります。感染状態によっては抗生剤投与だけでなく、切開して膿を出す処置が必要な場合があるので、爪周囲の腫れ・痛みが強い場合は早急に医療機関の受診してください。

外反母趾

外反母趾により足の親指(母趾)が腫れて痛む場合があります。
ただ変形があっても痛みがない場合もあるため、何らかの原因があり炎症を起こしていることが多いです。キッカケとしてヒールの高い靴やつま先が細い靴を履き続けるなどの外的要因で起こる場合と、体調不良に伴う炎症として内的要因で起こる場合があるとされています。
対処として炎症を抑えるために原因となっている状況を回避すること、抗炎症薬(内服薬や湿布などの外用薬)を使用することなどがあります。炎症が落ち着いた後で、当院では 足部運動指導(わらじセラピー)や機能的足底板療法などを提供しています。

関節リウマチ

関節リウマチにより足の指の腫れ・痛みが生じる場合もあります。見極めポイントは、関節リウマチの場合の指や手の指の関節が腫れは多くが両側に発症します。また朝方の手の指のこわばりや、そのほかにも発熱や倦怠感、食欲不振などの症状が現れることもあります。
関節リウマチは、全身性の自己免疫疾患ですので、なるべく早めにリウマチ専門医のいる医療機関を受診することをおすすめします。
当院では月1回専門医による特別外来を行っています。

川崎病

小児に起こる足の指の痛み・腫れの原因に川崎病があります。川崎病は小児に発症する全身の血管に炎症が起こる病気です。見極めポイントとしては、足の指の腫れ以外の病状が大切で、手足の指の皮がむける、38度以上の発熱、両目の充血、舌がイチゴのように赤くなり、表面がブツブツになるなどの症状が見られる場合があります。
このような症状が現れた場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病は、全身にさまざまな合併症が現れる病気で、足の指の腫れ・痛みもその1つです。
血行障害が主な原因のため、重症化すると組織が壊死して足を切断しなければならない場合もあるため、糖尿病の方はなるべく早く異変に気づいて医療機関を受診し治療を開始することが大切です。

しもやけ(凍瘡)

寒い季節に意外と多いのが「しもやけ(凍瘡)」です。
体の末端部分の血液循環が悪くなり、足の指や手の指の細い血管が収縮・うっ血して赤紫色に腫れたり、痛みやかゆみが生じたりします。軽症のうちに局所の保温などの適切な対処をすることが大切です。悪化すると水ぶくれや潰瘍になるケースもあるため、改善がない場合は医療機関の受診をおすすめします。また、冷える環境でもないのにしもやけのような症状が続いている場合は、「膠原病」など別の病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。

水虫(足白癬)

足白癬(あしはくせん)、通称「水虫」が原因の場合があります。
見極めポイントは、“強いかゆみ”です。その他には、指の間の皮がむける、赤くなる、ジュクジュクする、小さな水ぶくれがたくさんできる、爪が白く濁るなどの症状があります。
大切なことは、放置すると二次的な細菌感染が生じ、感染が足全体に及ぶこともあるので、「水虫」と安易に放置しないで早期の治療を心がけましょう。

接触皮膚炎

接触皮膚炎、いわゆる「かぶれ」のことです。 
元々アレルギーがある物質に触れることで起こる「アレルギー性皮膚炎」、刺激が強い物質に触れることでが起こる「刺激性接触皮膚炎」などがあります。靴下やサンダルなどが原因となる場合も少なくありません。

虫刺され

虫に足の指を刺されると、炎症が起こって腫れやかゆみ、痛みが生じる場合があります。
見極めポイントは、“どんな虫に刺されたか“ です。蚊による虫刺されの場合は、刺されてすぐに急激なかゆみや赤い腫れが出ますが、ほとんどの場合は数時間で自然に治まるため心配はいりません。しかし、ハチやムカデなどに刺されると激しい痛み・腫れだけでなく、アナフィラキシーショックを起こしてしまう場合もあるため注意が必要です。気持ち悪さや息苦しさを伴う場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

■覚えておくべき、おすすめの対処法

対処法1:軽い症状の場合

虫刺されや水虫、接触皮膚炎などが原因で足の指が腫れていると思われる場合は、市販の外用薬を使用すれば徐々に症状が緩和されていくことがあります。腫れやかゆみ、痛みの症状がそれほどひどくないようなら、市販薬を使ってしばらく様子を見てみましょう。

対処法2:患部への対処、冷やす?温める?

  • 足の指を冷やす
    炎症が原因で腫れている場合は、保冷剤や氷のうなどで患部を冷やしましょう。温めたり揉んだりするのは逆効果なので注意してください。
  • 足の指を温める
    しもやけが原因の場合は、患部を温めて血液の循環を良くしましょう。温めたタオル、使い捨てカイロを使って足先を温めたり、足湯なども良いです。

対処法3:足の指の腫れ・痛みが引かない場合

対処法1.2を行っても、腫れが引かない、痛みやかゆみがひどい、歩行が困難で日常生活に支障をきたしているという場合などは、迷わずに医療機関を受診しましょう。

■何科に行けば良いのか?

原因によって何科を受診すべきかが変わってきます。
皮膚病変がなく腫れや痛みの症状のみが現れている場合は、整形外科を受診するのがおすすめです。また、皮膚の表面にブツブツができていたり、かゆみがあったりする場合は皮膚科、発熱や倦怠感などの全身症状がある場合は内科を受診すると良いでしょう。
「足の指が腫れてないのに痛い」という場合、医療機関を受診すべきかどうか迷う人もいます。
もし、それほど痛みが強くなければしばらく様子を見ましょう。ただし、激しい痛みや、その他に気になる症状が現れている場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

■まとめ

足の指の腫れが生じる原因は複数あるため、実際には自分で見極めることが難しいケースもたくさんあります。腫れや痛みなどの症状が強い場合、長引く場合は、思わぬ病気が潜んでいることもあるため、迷ったら早めに医療機関を受診してください。

田園調布 長田整形外科
院長 長田 夏哉(おさだ なつや)

【診療科目】
整形外科・リハビリテーション科・一般内科・自然療法・KITAサウンドヒーリング・ウェルネスプログラム

【略歴】
平成5年に日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室に入局し整形外科専門医の研鑽を積む。平成17年に川崎市立川崎病院の医長に就任。平成17年9月に田園調布 長田整形外科を開院。

【資格】
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科学会認定 スポーツ医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター

【所属学会】
日本整形外科学会
日本整形外科スポーツ学会
日本臨床スポーツ医学会
日本手の外科学会
日本運動器科学会
日本骨粗鬆症学会 等

【所属・関連協会】
一般社団法人 日本スポーツビジョン協会:JSVA 名誉会員
一般社団法人 国政生命意識協会 顧問
一般社団法人 MCA学会 理事
一般社団法人 手のひらセルフケア協会
サウンドヒーリング協会 アドバイザリーブレイン
NPO法人 予防医学療法研究会 顧問
認定NPO法人 日本YOGA連盟 アドバイザー

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