ドクターコラム

膝が痛いときはどうすればいい?原因や治療・予防など【大田区・世田谷区の整形外科医が解説】

膝が痛いとき、どうすればよいか分からずに困っていませんか。膝の痛みは日常生活に大きな影響を与えるため、早めの対処が大切です。大田区や世田谷区にお住まいの方で膝痛に悩んでいる方は、実は多くいらっしゃいます。この記事では、膝痛の原因から治療法、予防法まで、整形外科医の視点から分かりやすく解説します。自宅でできる対策から病院での治療まで、膝痛と上手に付き合うための情報をお伝えします。

大田区で膝痛に悩む方へ:原因と症状をわかりやすく解説

膝の痛みには、さまざまな原因がありますが、大きく分けると「炎症によるもの」と「損傷によるもの」の2つに分類できます。大田区の整形外科を受診される方も、この2つのいずれか、または両方が原因となっているケースがほとんどです。

炎症による膝痛

関節内でなんらかの原因により炎症が生じると、膝が痛みます。悩む方が多いのが、加齢による「変形性膝関節症」です。50歳以上の女性に多く、加齢によって軟骨がすり減ることで骨同士がぶつかり、炎症を起こします。初期は「動くと痛い」から始まり、進行すると「安静にしていても痛い」と痛みが続くようになります。

関節内に結晶がたまる「偽痛風」や「痛風」、細菌感染による「化膿性関節炎」、免疫異常による「関節リウマチ」なども炎症によって痛みが生じます。偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶が、痛風は尿酸の結晶が原因で、多くの場合は腫れも伴います。化膿性関節炎は緊急治療が必要な病気で、発熱を伴うことが多いです。

損傷による膝痛

膝を構成する部位が物理的に傷ついていると、痛みが生じます。代表的なものは「半月板損傷」で、膝のクッション役である半月板が裂けたり、すり減ったりすることで痛みが生じます。スポーツでの急な動きや、加齢による変性が原因となります。「靭帯損傷」も多く、前十字靭帯や内側側副靭帯などが傷つくと、膝が不安定になったり痛みが出たりします。ここではわかりやすく2分しましたが、厳密には損傷による膝痛も炎症を伴います。

膝の内側が痛いときに考えられる主な原因と対処法

膝の内側に痛みを感じるのは主に次の3つです。

疾患名特徴・原因対処法・治療
変形性膝関節症加齢で軟骨が摩耗し、骨がこすれて炎症や痛みを引き起こす痛み止め、ヒアルロン酸注射、運動療法、再生医療など
半月板損傷膝のひねりや衝撃により、クッションの役目を果たす半月板が損傷安静、リハビリ、ロッキングがある場合は内視鏡手術も検討
鵞足炎(がそくえん)膝の内側下部の腱や滑液包に炎症。運動による摩擦が原因安静、アイシング、痛みが続く場合は整形外科で診察

最も多い原因の一つは「鵞足炎(がそくえん)」です。これは、膝の内側にある鵞足という部分に炎症が起こる病気で、運動のしすぎや膝への負担が原因となります。膝を曲げ伸ばしする動作で痛みが出やすく、とくに階段の昇り降りで痛みを感じることが多いです。

「内側半月板損傷」も膝の内側の痛みの原因として多く見られます。半月板は膝関節の中にあるクッションのような組織で、これが損傷すると膝の内側に痛みが出ます。スポーツでの急な方向転換や、加齢による変性が原因となることがあります。膝を曲げた時に引っかかりを感じたり、膝に水がたまったりすることもあります。

「変形性膝関節症」で内側の軟骨の摩耗が進行すると、膝の内側に痛みが出ることがあります。O脚の方は特に内側に負担がかかりやすく、症状が出やすい傾向にあります。

いずれも違和感を覚えたらすぐに病院の診察を受け、痛みの原因を正確に診断して早めに適切な治療を受けることが大切です。

膝を曲げると痛いときの原因と対処法

膝を曲げると痛みが出る場合の原因は主に次の2つが考えられます。

疾患名特徴・原因対処法・治療
膝蓋大腿関節症膝と太もも周りの軟骨が摩耗し、骨がこすれて炎症や痛みを引き起こす痛み止め、ヒアルロン酸注射、運動療法、再生医療など
半月板損傷膝のひねりや衝撃により、クッションの役目を果たす半月板が損傷安静、リハビリ、ロッキングがある場合は内視鏡手術も検討

膝を曲げると痛い原因として多いのは、膝蓋骨(膝のお皿)周辺の問題です。膝蓋大腿関節症という病気では、膝のお皿と太ももの骨の間の軟骨摩耗が進むことで痛みが生じます。階段を降りる時や長時間座った後に立ち上がる時に痛みを感じることが多いです。太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることで症状を改善し、再発を予防することができます。

半月板が損傷すれば、その位置によっては内側ではなく、単に曲げると痛い場合もあります。

こうした症状においては、痛みが出る動作を避け、安静にすることが大切です。患部を冷やし、炎症が落ち着いたら温めるようにします。痛みが続く場合は、整形外科で適切な検査を受けましょう。

整形外科で受ける膝痛の治療法

まず行われるのが「保存的治療」です。手術をせずに症状を改善する方法で、多くの膝痛はこの治療で改善・緩和が期待できます。

薬物療法では、痛み止めの内服薬や湿布などの外用薬を使用します。症状が強い場合は、膝関節内にヒアルロン酸の注射を行うこともあります。ヒアルロン酸は関節の潤滑を良くし、痛みを和らげる効果があります。

運動療法も重要な治療法の一つです。理学療法士の指導のもと、太ももの筋肉を鍛える運動や、関節の可動域を改善する訓練を行います。とくに大腿四頭筋の強化は、膝への負担を軽減し、痛みの緩和に効果的です。膝を温める物理療法や、膝への負担を軽減する装具療法もあります。

保存的治療で改善が見られない場合や、症状が重度の場合は手術が検討されます。半月板の処置や関節内の清掃が必要な場合は、関節鏡を使った手術が採用されます。

変形が進行した場合は、人工関節置換術により痛みを取り除き、歩行機能を改善する選択肢もあります。

このように治療法は多岐にわたりますが、患者さんの年齢や活動レベル、症状の程度などを総合的に判断して決定されます。

自宅でできる膝痛対策と予防

膝痛の改善や予防のために、自宅でできる対策がいくつかあります。基本的に痛くなった直後にできることは安静にすることだけです。痛みや腫れがない、普段の生活で継続して行うことで、その後の痛みの予防につながるでしょう。

膝痛に効く簡単ストレッチで痛みを和らげよう

膝周りの筋肉を柔らかくするストレッチは、痛みの軽減に効果的です。特に太ももの前側(大腿四頭筋)と後ろ側(ハムストリングス)のストレッチが重要です。

大腿四頭筋のストレッチ
横向きに寝て上側の足の足首を手で持ち、かかとをお尻に近づけるように曲げます。太ももの前側が伸びているのを感じながら、20~40秒キープしてください。この動作を2~3回繰り返し、反対側も同様に行います。

ハムストリングスのストレッチ
仰向けに寝て片足を上げ、太ももの裏側を両手で支えながら膝を伸ばします。無理のない範囲で行い、20~30秒キープします。このストレッチにより、膝の曲げ伸ばしがスムーズになります。

椅子に座って行える簡単な運動:膝の曲げ伸ばし
椅子に座った状態で、片足をゆっくりと前に伸ばし、5秒キープしてから戻します。10回繰り返す。これで大腿四頭筋を鍛えることができます。

ストレッチや運動は痛みのない範囲で行い、毎日続けることが大切です。

膝痛対策にサポーターやサプリメントは効果ある?

膝サポーターは、適切に使用すれば膝痛の軽減に役立ちます。ただし、サポーターは歩行しやすくするよう助けるもので、常用すると圧迫などによって症状が悪化するおそれもあります。痛みでリハビリが難しいといった場合に活用するとよいでしょう。

サポーターを選ぶ際は、自分の膝のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。長時間の使用は筋力低下につながる可能性がある点にも注意が必要です。

サプリメントについては、グルコサミンやコンドロイチンなどが膝痛に効果があると言われていますが、科学的な根拠は限定的です。効果には個人差があり、すべての人に効くわけではありません。サプリメントを試す場合は、医師に相談してから始めることをおすすめします。

サポーターもサプリメントも、あくまで補助的な役割であることを理解し、基本的な治療や運動療法と併用することが大切です。膝痛の根本的な改善には、適切な診断と治療、そして日常的な運動習慣が不可欠です。

膝痛のとき運動してもいい?安静にすべきケース

慢性的な膝痛の場合は、適度な運動をするようにしましょう。完全に安静にしていると、膝周りの筋肉が衰え、関節が硬くなってしまいます。椅子に座って行う膝の曲げ伸ばし運動、水中ウォーキングなど膝への負担を抑えた運動を続けてください。

しかし、膝が赤く腫れて熱を持っている場合、安静時にも強い痛みがある場合、膝に水がたまって腫れている場合などは、無理に動かさず安静にして、早めに整形外科を受診しましょう。また、運動中に急激な痛みを感じた場合も、すぐに運動を中止して様子を見る必要があります。

膝に不安のある方が運動を行う際は、必ずウォーミングアップから始め、痛みの出ない範囲で行うことが大切です。運動後はアイシングやストレッチでケアを行い、翌日に痛みが強くなるようであれば運動量を調整しましょう。適切な運動は膝痛の改善だけでなく、再発予防にも効果的です。自分の状態に合わせて、無理のない運動を継続することが重要です。

膝痛が続く・ひどいときは整形外科へ:受診の目安

膝の痛みがいつまでも続く場合や、症状がひどい場合は、早めに整形外科を受診することが大切です。膝の軟骨は一度摩耗すると元に戻すことは困難です。適切なタイミングで受診することで、症状の悪化を防ぐことができます。

「6週間以上痛みが続く場合」はすぐに医療機関に相談してみてください。軽い痛みでも、長期間続く場合は何らかの病気が隠れている可能性があります。また、次のような症状は受診の一つの目安として覚えておくと便利です。

膝が赤く腫れている
安静にしていても痛みが続く
膝に熱感がある
膝が急に動かなくなった
膝に体重をかけられない
歩行が困難になった
など

半月板損傷や靭帯損傷などの可能性があり、早期の治療が必要です。

整形外科では、問診や触診、レントゲン検査、必要に応じてMRI検査などを行い、正確な診断を行います。血液検査により、関節リウマチや痛風などの診断も可能です。早期に適切な診断を受けることで、効果的な治療を開始でき、膝痛の改善や進行の予防につながります。痛みを我慢せず、気になる症状があれば早めに受診しましょう。

大田区の整形外科医が解説:膝痛と上手に付き合うコツ

膝痛は一度発症すると長期間付き合っていくことが多いです。膝の痛みには、次の3つのコツを抑えて上手に付き合っていきましょう。

自分の膝の状態を正しく理解する
日常生活で膝への負担を減らす
運動習慣を身に着ける

最も重要なのは、自分の膝の状態を正しく理解することです。膝痛の原因や現在の状態を把握することで、適切な対処ができるようになります。定期的に整形外科を受診し、必要な検査を受けて、医師から説明を受けることが大切です。分からないことがあれば、遠慮せずに質問しましょう。

また体重管理は膝への負担を軽減する最も効果的な方法の一つです。体重が1kg減るだけで、膝への負担は3~4kg軽減されると言われています。正しい姿勢を保つこと、膝に優しい靴を選ぶこと、長時間の立ち仕事や歩行を避けることなども大切です。

そしてやはり重要なのが運動習慣です。膝周りの筋力を維持することで、膝への負担を軽減できます。無理のない範囲で、毎日少しずつでも運動を続けることが大切です。痛みの程度に応じて運動内容を調整しましょう。痛みが強い時は無理をせず、医師に相談してみてください。

大田区で膝痛に悩んでいる方は、まずは田園調布長田整形外科で相談を

膝の痛みは放置すると進行し、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。早めに適切な診断と治療を受けられれば、症状の改善や進行の予防が期待できます。大田区や世田谷区にお住まいで膝痛に悩んでいる方は、ぜひ田園調布長田整形外科にご相談ください。

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