ドクターコラム

ふくらはぎが痛い・だるい原因とは?当院が考える解消・予防法

ふくらはぎが「だるい」「重い」「痛い」などの不調に悩んでいる患者さんは当院に多くいらっしゃいます。過度な運動や長時間の立ち仕事など、疲労の蓄積が原因の場合と、疲労の心当たりはないのに「なんとなく足がだるい・重い・痛い」と感じる患者さんもいます。
特に近年のコロナ禍では、思い当たる原因がないのに痛みが長引く・繰り返すなど「何かの病気なのでは?」と不安になって来院する患者さんが増えている印象です。

この記事では、ふくらはぎの痛みやだるさの原因や対処法、予防法について解説します。日頃からできる予防法から当院で行っている予防法についても紹介するので、ふくらはぎの痛み・だるさに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

原因

私たちの体は、生活習慣の変化によって“不調のサイン”を痛みなどの症状で引き起こします。
ふくらはぎの痛み・だるさの原因で最も多いのが以下、3つの原因です。

①筋肉の疲労

長時間の運動、もしくは慣れない運動などによる筋肉の疲労が原因の1つとなります。
運動後はふくらはぎの筋線維が炎症を起こし痛みが生じる「筋肉痛」となります。また、ふくらはぎの筋肉が収縮して攣る(こむら返り)こともあります。

②足の血行不良

筋肉は疲労が蓄積すると筋肉が硬くなることで血管を圧迫し、血行不良になります。足の血行が悪くなると老廃物が溜まりやすくなるため、ふくらはぎの痛みやだるさ、むくみのを引き起こします。
長時間のデスクワークや立ち仕事など、ずっと同じ姿勢でいたりすると筋肉ポンプが働かないため、静脈のうっ血が生じることが原因となります。

③体の冷え

女性に特に多いのは「体の冷え」が原因です。男性に比べて筋肉量が少ないため体が冷えやすく、そのためふくらはぎに痛みやだるさを感じやすい傾向にあります。

解消法

ふくらはぎが「だるい」「重い」「痛い」と感じた場合におすすめしている「セルフケア方法」を紹介します。軽度な症状の場合は、この解消法を取り入れることで痛み・だるさを緩和できるので、ぜひ参考にしてください。

①マッサージ・ストレッチ法

ふくらはぎの痛みや足のだるさを取る方法としては、マッサージやストレッチがおすすめです。
38~40度ほどの湯船に浸かったお風呂上がりなど、体があたたまっているときにふくらはぎの筋肉をよく揉みほぐし、ストレッチを行うことで血液循環やリンパの流れが良くなります。
※当院では、理学療法士・柔道整復師によるセルフケアをアドバイスしています。

②特効ツボ押し

ふくらはぎの痛み・だるさなどに有効なツボは、「承山(しょうざん)」です。
ふくらはぎの中央の位置にあり、親指をツボに当て、ゆっくりと息を吐きながら5秒ほど押し込み、それを5~10回ほど繰り返します。筋肉の緊張緩和により、血行が良くなりむくみも軽減します。
※当院では、鍼灸師がアドバイスしています。(鍼灸師による鍼灸施術プログラムもあります)

③弾性(着圧)ソックス・ストッキングの使用

着圧ソックス・ストッキングなどを履くのも効果的です。
血液を下から押し上げる弾性ストッキングは、ふくらはぎのポンプ機能を助け、血行を促し「痛い」「だるい」「むくみ」などの不快な症状が緩和されます。デスクワークの人や立ち仕事の方、長時間歩き回ることの多い方にとても有効です。
※当院では、看護師から着脱のアドバイスを行っています。

予防法

ふくらはぎの不調を予防する方法を紹介します。デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢でいることが多い、足を酷使するなど、ふくらはぎに痛みやだるさを感じやすい人にはとても大切です。

①こまめな運動

定期的にふくらはぎを動かすことが大切です。アキレス腱を伸ばす運動や立って膝の屈伸運動など、ふくらはぎに適度な刺激をあたえることで血流がよくなります。

②水分補給

水分不足は血液がドロドロになり血流を悪くする原因になります。夏場の水分補給はもちろんのこと、空気が乾燥しやすい冬にもこまめな水分補給を心がけましょう。

③体の冷え対策

季節問わず、なるべく体を冷やさないよう心がけることが大切です。夏場は冷房の温度を28℃に設定し、冬場などは靴下やひざ掛けなどを使用するなど、日頃から体を冷やさない工夫をしましょう。

ふくらはぎが痛い・だるい原因は病気の可能性も

ふくらはぎの不調は「病気」「疾患」の場合があるため、その見極めがとても大切です。

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症とは、足の血管の動脈硬化によって血管が細く詰まることで、足に送られる血液量が減少してしまう病気です。血糖やコレステロールの高い糖尿病・高脂血症・高血圧症など、生活習慣病がある方や喫煙者に多いです。歩くときの足のしびれや冷えなどの症状が現れることがあり、「脊柱管狭窄症」の病状の場合があるため、当院では、CAVI/ABI(動脈の硬さ/動脈の詰まり)検査と腰椎MRIを行い診断しています。治療としては、血管を拡張する内服薬を用いた治療、病状によってカテーテルで血管を拡張する治療、手術療法があります。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、静脈の逆流防止弁がスムーズに機能しない、壊れて正常に働かなくなり、血液がうっ滞して起こる疾患です。足の静脈がコブ状に膨み、皮膚の表面がボコボコと浮いてきます。進行すると皮膚のかゆみや黒ずみ、湿疹が生じたり、皮膚の表面に穴が開いたりするケースもあるため注意が必要です。女性や立ち仕事をしている人に多くみられます。主な治療法としては、弾性ストッキングの使用と日常生活指導、そして手術療法があります。

深部静脈血栓症

血栓症とは、血管の中に血栓(血の塊)ができ、血管に詰まってふたをしてしまう症状のことです。様々な原因がありますが、近年では新型コロナウイルスにかかると軽症者でも稀に血栓ができる可能性があることが言われています。特徴的な症状としては、ふくらはぎの痛みや腫れ、熱感等です。
血栓症は足に発生した血栓が血流に乗り肺動脈まで運ばれてしまうと、肺塞栓症を併発する可能性があることです。
コロナ禍になってから、当院では積極的に血液検査を行い、D-Dダイマー(血栓症の診断に有用な項目)を確認しています。場合によっては、連携している心臓血管外科・循環器内科を紹介し、早期診断を心掛けています。
治療法としては、抗凝固剤などの内服薬を用いることが多いです。

坐骨神経痛

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、などの腰椎疾患が原因となり、腰や臀部、大腿の後ろ、ふくらはぎ、すね、足先にかけて痛み・しびれ、冷感、灼熱感、締め付け感、などの症状が現れます。この坐骨神経が圧迫されて生じるさまざまな症状の総称を「坐骨神経痛」と言います。診断は臨床所見と併せて腰椎MRI検査を行います。

以上から、『ふくらはぎが痛い・だるい』の症状が「不調」の段階であれば、自分に合った方法でセルフケアすることがおすすめしています。
ただし、歩けないほど痛い場合や原因不明で1週間以上も痛みが続く場合は、医療機関を受診しましょう。まずは整形外科を受診することをおすすめします。病状によって、心臓血管外科・循環器内科の受診が必要となる可能性があります。

当院の解消・予防プログラム

ふくらはぎの「痛み」「だるさ」の解消法・予防法として、当院がお勧めしていますプログラムをご紹介します。

MCC (Multi Cuff Care)

腕や脚の血流を一時的に制限(駆血)し、解放(再灌流)することで血流改善を促進し、再灌流時に関節内部や筋肉深部の毛細血管に至る血流が増大し、酸素や栄養を供給します。病気・怪我の治療・疾病予防・健康増進、筋力アップに有効性が高い加圧治療機器です。
「血管の健康」を促進しますので、生活習慣病予防、免疫力アップによる感染予防に効果的です。コロナ禍で感染予防対策として推奨しています。

オリエンタルクレイ®セラピー

クレイ(粘土)を使って、背中や顔、足裏のツボや反射区にアプローチしていくセラピーです。クレイは皮膚の菌や老廃物を吸収・吸着をしてくれるためでデトックス効果も高く、「引き算のセラピー」と言われています。

マグネシウム ローション:自然療法

スポーツなどで汗をかくとマグネシウムは失われます。スポーツ後のふくらはぎの痛み・だるさに、マッサージに使用することで、速やかにマグネシウムを補うことができます。

ディープブルーラブ:自然療法

ブレンドオイル「デープブルー」と植物エキスなどが配合されたクリームです。運動後の気になる箇所に塗布すると、ひんやりとした清涼感とじんわりとした温かさを感じることができます。スポーツ後や日常における足の疲れなどにも推奨しています。

スキンラスタークリーム (フラワーエッセンス):自然療法

緊張・プレッシャー・潜在的なストレスなどは、身体の緊張や不調を生む原因になり、不眠の原因にもなります。スキンラスタークリームは、身体も心もゆるめ、本来の健やかさと輝きを取り戻すサポートアイテムです。

田園調布 長田整形外科
院長 長田 夏哉(おさだ なつや)

【診療科目】
整形外科・リハビリテーション科・一般内科・自然療法・KITAサウンドヒーリング・ウェルネスプログラム

【略歴】
平成5年に日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室に入局し整形外科専門医の研鑽を積む。平成17年に川崎市立川崎病院の医長に就任。平成17年9月に田園調布 長田整形外科を開院。

【資格】
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科学会認定 スポーツ医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター

【所属学会】
日本整形外科学会
日本整形外科スポーツ学会
日本臨床スポーツ医学会
日本手の外科学会
日本運動器科学会
日本骨粗鬆症学会 等

【所属・関連協会】
一般社団法人 日本スポーツビジョン協会:JSVA 名誉会員
一般社団法人 国政生命意識協会 顧問
一般社団法人 MCA学会 理事
一般社団法人 手のひらセルフケア協会
サウンドヒーリング協会 アドバイザリーブレイン
NPO法人 予防医学療法研究会 顧問
認定NPO法人 日本YOGA連盟 アドバイザー

       

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